原産地呼称統制法

ボダナートです。

今回も前回に続いてワインの話をしたいと思います。

皆さんは「ロマネ・コンティ」というワインを知っていますか?

ロマネ・コンティはフランス、ブルゴーニュ地方で生産される高級ワインなのですが、そのワインの名前がなぜ「ロマネ・コンティ」なのかは知らないのではないでしょうか。

実は、ロマネ・コンティとは「畑の名前」なのです。

酒屋さんでワインを見ていると、同じ名前なのに異なるボトルのデザインのワインを見たりしたことはありませんか?

Bordeaux ( ボルドー ) とか、Bourgogne ( ブルゴーニュ ) とか。

ボルドーやブルゴーニュはフランスの「地域の名前」です。

例えるなら、焼酎に「鹿児島」とか「熊本」とか名前が付いている感じでしょうか。

これらのワイン、「畑の名前」とか「地域の名前」がワインの名前になっているのには理由があって、それがタイトルにある「原産地呼称統制法」というルールなのです。

原産地呼称統制法は、元々は原料の偽装や産地の偽装を防ぐためのルールでした。

ルールが出来る前の時代には、ブドウ以外の原料を使ってワインを造ったり、異なる地域のワインを高値で売れる地域のワインとして売り出したりする問題がありました。

「国産ワイン」とか「シャンパン」とかいうのも似たような問題ですよね。

ちょっと脱線しますが、それらの話もしておきたいと思います。

実は、日本の「国産ワイン」の原料は外国で収穫されたブドウです。

安いチリ産やアルゼンチン産のブドウの搾り汁を濃縮して輸入して、水で薄めて元のブドウ果汁の状態に戻してから「国内で発酵 ( ワインを造る )」させて「国産ワイン」を名乗っている。

原料は外国産でも「日本国内で造った」から「国産ワイン」と言っているのです。

今は法律が作られ、「国産ワイン」は今まで通りですが、特に「日本ワイン」と書かれているワインは「国内で造られたブドウを原料とする」ルールになっています。

「シャンパン」も産地偽装の例になります。

昔、フランスのシャンパーニュ地方で造られたスパークリングワインの評判が良かったため、アメリカで「シャンパーニュ」を名乗るスパークリングワインが流行しました。

中身はもちろんアメリカ産のスパークリングワインです。

さて、原産地呼称統制法の話に戻りますが、原産地呼称統制法では以下のように定められています。( wikipedia より引用 )

  1. 生産地域 : その産地内でできたブドウ100%で作られている。
  2. 品種 : ブドウの品種に関しても使用の可否に規定があるので、それが守られていること。
  3. 最低アルコール度数 : 収穫期のブドウの糖度にも規定がある。
  4. 最大収穫量 : 1ヘクタール当たりの最大収穫量が規制されている。ワインの品質は、単位面積当たりの原料ブドウの収穫量が少ないほど高くなる(多いほど低くなる)傾向があるので、面積あたりの生産量を増やしすぎることはワインの品質低下に直結する。このため、高い品質を維持するには、ブドウの花の開花の段階で調整し結実させる房の数を減らす必要がある。
  5. 栽培法 : ブドウの樹齢が5年を経過していること、など。
  6. 剪定法 : ブドウの樹の種類を考慮し、産地によっても異なる。
  7. 醸造法 : ミュスカデ、ロゼワイン、シャンパーニュのスパークリングワインには、特別に規定がある。産地によって異なる。
  8. 熟成法 : ボジョレー・ヌーヴォーの発売日や、発泡ワインの熟成法は、特に厳密に定められている。
  9. 試飲検査 : AOCワインのすべてが、試飲検査を受けなければならない。

ここでやっと「ロマネ・コンティ」とか「ボルドー」「ブルゴーニュ」の話に戻る訳ですが。

「ボルドー」「ブルゴーニュ」という名前のワインは原産地呼称統制法で定められたルールに則っている事を示し、それをアピールするための名前なのです。

では「ロマネ・コンティ」はと言うと、原産地呼称統制法の「生産地域」には「地域」>「村名」>「畑の名前」と、細かく分類できる規定もあって、より限定された生産地域で造られたワイン、特に同一の畑で造られたブドウのみで造られたワインについて「畑の名前」をワインの名前にする事が出来るのです。

「ロマネ・コンティ」は「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ」という会社が単独で所有する小さな畑です。

ブルゴーニュ地方のヴォーヌ・ロマネ村、特に恵まれた場所で長い時間をかけて大切に守られてきた畑。

そこで採れたブドウを使って造られたワインの名前にその畑の名前が付けられる。

そんなストーリーに世界中のワイン愛好家が惹きつけられるのかも知れません。

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